バーでウイスキーを飲んでみたい。 でも、種類も飲み方もわからない。
メニューを見ても銘柄の名前がずらりと並んでいるだけで、結局いつものハイボールを頼んでしまう。
そういう方は、とても多いです。
先に言っておくと、ウイスキーの頼み方に、難しい知識は要りません。
銘柄を覚える必要も、専門用語を使う必要もない。
コツさえ知っていれば、初めてでも自分に合った一杯にたどり着けます。
神戸・三宮で1947年から続くバー「SLICE BAR」でカウンターに立つ立場から、頼み方の基本と、知らなくても失敗しない注文の仕方をお伝えします。
まずは飲み方から選ぶ
ウイスキーは、同じ一本でも飲み方によって表情が大きく変わります。
銘柄より先に、まず飲み方を知っておくと選びやすくなります。
ストレート
何も加えず、そのまま飲む方法です。
ウイスキー本来の香りと味を、いちばんまっすぐに感じられます。
実は、当店が初心者の方にいちばんおすすめしているのが、このストレートです。
意外に思われるかもしれません。 強くて飲みにくいのでは、と。
でも、ウイスキーがどんなお酒なのかを知るには、まず本来の味を体験していただくのがいちばんだと考えています。
少量をゆっくり口に含めば、アルコールの強さより先に、香りや甘み、余韻が伝わってきます。
そのうえで「もう少し飲みやすくしたい」と思えば、氷を入れたり、ソーダで割ったりと、後から調整できます。
まず本来の姿を知って、そこから自分好みに寄せていく。
この順番をおすすめしています。
ロック
大きな氷を入れて飲む方法です。
冷えることで香りが少し落ち着き、時間とともに氷が溶けて味が変化していきます。
強さがやわらぐので、ストレートは少し身構えるという方にも向いています。
ハイボール
ソーダで割る、いちばん親しみやすい飲み方です。
炭酸で軽やかになり、食事にも合います。
すでにハイボールに慣れている方は、ここから一歩、銘柄を変えてみるだけでも新しい発見があります。
水割り
水で割る方法です。
日本で長く親しまれてきた飲み方で、アルコールがやわらぎ、食中でも飲みやすくなります。
トゥワイスアップ
ウイスキーと同量の常温の水を加える飲み方です。
香りが最も開くと言われ、味わいをじっくり楽しみたいときに向いています。
少し通な頼み方ですが、覚えておくと選択肢が広がります。
種類は方向性だけ知れば十分
ウイスキーには産地による種類があります。
ただ、全部を覚える必要はありません。
ざっくりした方向性だけ知っておけば大丈夫です。
スコッチは、スコットランドのウイスキー。 銘柄によっては、煙のような独特の香り(スモーキーさ)があるものもあります。
ジャパニーズは、日本のウイスキー。 全体に繊細でバランスがよく、初めての方にもなじみやすい傾向があります。
バーボンは、アメリカのウイスキー。 とうもろこしが主原料で、甘い香りが特徴です。
アイリッシュは、アイルランドのウイスキー。 口当たりがなめらかで、軽やかなものが多いです。
この4つの方向性さえ頭にあれば、あとはバーテンダーに任せて構いません。
銘柄を知らなくても、こう頼めばいい
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。
ウイスキーの銘柄を知らなくても、まったく問題ありません。
大事なのは、名前ではなく「どんな気分か」を伝えることです。
たとえば、こんな伝え方で十分です。
- 「軽めで飲みやすいものを」
- 「甘い香りのものが好きです」
- 「スモーキーなのを試してみたい」
- 「食事に合うものを」
- 「今日は少し贅沢したい気分で」
こうした一言があれば、バーテンダーはそこから一本を選び、飲み方まで提案できます。
むしろ、銘柄を指定されるより、気分や好みを教えていただくほうが、その日のあなたに合った一杯を出しやすい。
「ウイスキーは初めてで」と正直に言っていただくのも、まったく問題ありません。
それを聞けば、こちらも入りやすいものから提案します。
実は、大丈夫なこと
不安の裏返しで、こう思っている方が多いので、先にお伝えしておきます。
それは、一杯だけで帰っても大丈夫、ということ。
ゆっくり一杯飲んで、それで満足なら、それでいいんです。
ウイスキーの名前を知らなくても大丈夫です。
知らないことは、まったく引け目になりません。
途中で飲み方を変えても大丈夫です。
ストレートで頼んで、後から氷を足す。
それも自然な楽しみ方です。
わからないことを聞いても大丈夫です。
カウンター越しに気軽に尋ねてください。
それに答えるのも、バーテンダーの仕事ですから。
結局、いちばんの近道は「試すこと」
ここまで頼み方を書いてきましたが、ウイスキーを知るいちばんの近道は、知識を増やすことではなく、実際に飲んでみることです。
一杯試せば、自分が甘い香りが好きなのか、スモーキーなのが好きなのか、少しずつ見えてきます。
それを重ねるうちに、いつのまにか自分の好みがわかってくる。
SLICE BARでは、初めての方には、まずストレートで一杯試していただくことをおすすめしています。
ウイスキー本来の味を知っていただいたうえで、そこから一緒に、あなたの好みを探していければと思います。
銘柄も飲み方もわからないまま、気軽にお越しください。
最初の一杯は、こちらで選びます。