ハイボールは、身近なお酒です。
家でも作るし、どこでも飲める。 でも、家で作ると、なんだか物足りない。 バーで飲むと、同じハイボールなのに、おいしく感じる。
その違いは、どこにあるのか。
神戸・三宮で1947年から続くバー「SLICE BAR」から、ハイボールをおいしくする、ちょっとした工夫をお伝えします。
家でも試せることばかりです。
いちばん大事なのは氷
ハイボールのおいしさを、いちばん左右するもの。 それは、氷です。
家で作るハイボールが水っぽくなるのは、たいてい氷のせいです。
冷凍庫で作った小さい氷は、すぐ溶けて、ハイボールを薄めてしまう。 せっかくの一杯が、飲んでいるうちに、味が抜けていきます。
だから、大きくて、硬い氷を使う。 そして、グラスも、しっかり冷やしておく。
溶けにくい氷なら、最後まで薄まらず、冷たいまま飲めます。 氷を変えるだけで、家のハイボールは、ぐっとおいしくなります。
炭酸を逃がさない
次に大事なのが、炭酸です。
ハイボールの命は、あの、シュワっとした爽快感。 でも、作り方を間違えると、炭酸はすぐ抜けてしまいます。
やりがちなのが、炭酸を勢いよく注ぐこと。 ざばっと入れると、炭酸が一気に飛んでしまいます。
炭酸は、グラスの縁を伝わせるように、そっと注ぐ。 そして、混ぜすぎないこと。 軽く一回、下から持ち上げるように混ぜれば、十分です。
こうすると、炭酸が長持ちして、最後まで爽快感が続きます。 バーのハイボールが違うのは、この注ぎ方の差が、大きいんです。
ウイスキーと炭酸のバランス
もう一歩、踏み込みたい方へ。
ハイボールは、ウイスキーと炭酸の割合で、味が変わります。
濃すぎると、きつい。 薄すぎると、物足りない。
一般的には、ウイスキー1に対して、炭酸3〜4くらいが、バランスのいい目安とされます。 まずはこのあたりから始めて、好みで調整するといいです。
そして、使うウイスキーによっても、味は変わります。 すっきりしたものを使えば、軽やかなハイボールに。 香りの強いものを使えば、風味豊かなハイボールに。
以前、ウイスキーには産地ごとの違いがある、という話をしました。 その違いは、ハイボールにしても、ちゃんと出ます。
いろいろ試すと、自分好みのハイボールが見つかります。
レモンひとつで変わる
最後に、簡単なひと工夫を。
ハイボールに、レモンをひと搾り。 これだけで、香りが立って、爽やかさが増します。
搾り方にも、ちょっとしたコツがあります。 皮を下にして搾ると、皮の香りも一緒に加わって、より華やかになります。
レモンを入れるか入れないかは、好みです。 でも、いつものハイボールに飽きたら、試してみてください。 ひと搾りで、印象が変わります。
バーのハイボールがおいしい理由
こうして見ると、わかると思います。
バーのハイボールがおいしいのは、特別な魔法があるからではありません。
いい氷を使い、炭酸を逃がさず、バランスを整え、ひと手間を加える。 その小さな積み重ねが、あの一杯を作っています。
家でも、近づけることはできます。 でも、その手間を毎回ぜんぶやるのは、なかなか大変です。
だから、たまには、バーで一杯。 手間をかけた一杯を、味わいに来てください。
SLICE BARでは、そんなハイボールを、一杯ずつ丁寧に作っています。 家で試して、たまにバーで。 その両方で、ハイボールを楽しんでもらえたら、うれしいです。
氷の扱いが味を決める理由については、氷の物理学に書きました。